何言われたとしても、『今日、気合い入ってるねえ?』としか聞こえないかもね」
と付け加える。
だろ?
オンナに『化粧うまいですね』って純粋にほめることってできないのかなあ?
『今日は素敵ですねえ、でも俺は普段のナチュラル系の方が好きかな』なんて言うってのもせっかく今日は気合いを入れて来た彼女に失礼な気もするし?って言うか俺は純粋に今日の彼女がキレイなのをほめたいだけなわけで」
とナカバヤシは酔っぱらってるからか相当くどくなってきた。
マキも一瞬はこの話題に興味を示したのだが、
言わなきゃそれでいいのよ。
それにその話題???、正直言ってナカバヤシさんになんの関係もないし」
と投げやりに応えながら目を半分トロンとさせている。
マキ、オマエなんかねむそうだなあ?
ちょっと2階のふたり、偵察に行こうぜ。
もしかしてもう盛り上がってるかもしれない」
とハマグチが意地悪そうな笑みを浮かべながらマキを誘う。
わたし、覗きは趣味じゃないから、言っとくけど」
と素っ気なく応えるマキ。
わかったよ、それはいいから。
ちょっとオマエの部屋とか案内しろよ、もう片付いてんだろ?」
そんなこと言って、わたしのこと襲うんじゃないの?」
と今度はマキがハマグチに意地悪そうな笑顔でけしかける。
ああ、そう来る?
まあ???気が向いたらね」
とハマグチは呆れたように受け流す。
まあいいか。
じゃあ、ちょっとだけ見に来れば」
と言ってマキはだるそうにハマグチを連れ、ふたり仲良くリビングを出ていく。
なんかなあ???、倦怠の夫婦みたいだなあ?あのふたり」
とナカバヤシ。
まあ、それも仲のいい証拠ってことで」
とホンジョウは泡盛を噛み締めるように味わいながら、
なあ、ナカバヤシ?」
と尋ねるように言う。
何?」
俺、ここ数年かなあ、たまに思うんだよ
柏傲灣」
だから何を?」
ああ。
結婚もしないでずっと好き勝手なことばっかしてきただろう?」
そうだなあ」
ひとり暮らしにも慣れてさあ、掃除や洗濯、料理もそこそこ自分で好きな物なんかも作れるようになってきたりしてさあ。
車にオーディオやインテリア、欲しいものだってまあ、大体は揃えちまったって感じで。
ほら、オンナとかと一緒に住んだりすると自分の好きじゃないものとかが家の中に増えてきたりして嫌だったりもするだろう?」
まあな」
生活のリズムなんかもそこそこまあ、心地よい感じに出来てきたりしてね?」
いいんじゃないの、そう言うの
柏傲灣示範單位?」